架空料金請求詐欺や還付金詐欺に気を付けて 2023年09月01日号

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悪質な手口が増える 架空料金請求詐欺や還付金詐欺に気を付けて

今年1月から6月までの高崎警察署管内の詐欺被害の件数は19件で被害額は4800万円。1件あたりの被害額は年々増加している。被害者のほとんどは高齢者で、家庭の固定電話が糸口になっているケースが大半。高崎警察署生活安全課生活安全係長の金子厚子さんに、昨今の巧妙な手口や対策法について聞いた。

何人もの詐欺師による手の込んだ芝居

 高崎警察署に通報された架空料金請求詐欺の手口。未遂に終わったが、実に手が込んでいる。

 被害者は高齢の男性Aさん。突然、自宅の電話に老人ホームのスタッフを名乗る男から連絡が来た。「高崎市内に新しい老人ホームが完成し、70歳以上の人であれば優先して入居できます。近々入る予定はありませんか?」

Aさん「いいえ。ありません」

男「では、私の知り合いで、認知症の人がいるのですが、もしよろしければAさんの優先枠をその人に貸してほしいのですが…」

Aさん「困っている方がいるなら、いいですよ」

男「ありがとうございます。この老人ホームは〇〇工務店が作っています。工務店の担当者から入金の関係で、連絡が行きますので、その電話が来たら『これから入金する』と言ってください。入居権の1000万円はこちらから工務店に払っておきます。すぐに名義変更するので、Aさんにはご迷惑をかけませんよ」

Aさん「わかりました」

 その後、工務店から連絡があり、男から言われたとおり「これから入金する」と答えたAさん。それが命取りとなった。

 工務店とホームとの間で金銭トラブルがあったということで、後日、金融庁を名乗る男から、名義を貸したAさんに追及の電話がかかってくる。Aさんは頭の中がこんがらがってしまい、聞かれるがままに、自分の資産や保険の内容についてすべて話してしまう。

 続いて登場するのは、工務店が用意したとされる弁護士。「金融庁から監査が入ると、Aさんの口座が凍結されてしまう恐れがあります。定期預金を解約し、当面の生活費として200万円を引き出してください。そのあとすぐに、私に連絡してください」。動転し、わらをもつかむ気持ちで銀行に向かうAさん。

 結局、銀行員が「これはおかしい」と気づき、警察に通報。Aさんはお金をだまし取られることはなかった。しかし長期間、詐欺師たちによって翻弄され、身も心も疲れ切ってしまったという。

 「Aさんの親切心を利用した悪質な犯行です。権利が当たった、お金がもらえる、などの話にはウラがあります。電話がかかってきても話を聞かず、切ってください」と金子さん。

ATMに誘導し振込ボタンを押させる

 また昨今、「還付金詐欺も増えており、こちらは高齢者だけではなく、若年層も被害にあっています」と話す。

 実際に起こったケースは次のとおりだ。市役所職員を名乗る男が「年金の関係で、払い過ぎているお金があります。還付します」という電話をかけてくる。電話が多いのは土曜。市役所が閉庁し、問い合わせができないときを狙うのだという。

 「近くのATMにいき、振込のボタンを押してください。そして、私が申し上げる番号を入力してください。それが手続き番号になります」と詐欺師。

実は手続き番号ではなく、振込金額というのは、冷静に考えればわかること。でも、「35782」など中途半端な数字を言われるため、「これは還付のための手続き番号なんだ」と信じ込んでしまうという人が多いそうだ。

防犯機能付き電話機や防犯対策電話録音機の利用を

 詐欺の電話は自宅の固定電話にかかってくることがほとんど。そのため、防犯機能付き電話機に代えることがおすすめだ。着信時に警告メッセージが自動で流れ、通話内容が録音される機能が付いているため、詐欺の標的になりにくい。防犯機能付き電話機は1万円台から販売されている。

 高崎警察署では現在の電話に取り付け可能な「防犯対策電話録音機」の無料貸し出しも行っている。期間は1年間。

 気軽に利用し、使い勝手を確かめてみるのもいいだろう。

■高崎警察署
027・328・0110
■群馬県警察振り込め詐欺被害防止ホットライン
027・224・5454

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