「量子」と聞くと難しそうだが、その技術はタイヤや日本酒、人工衛星など、身近なところから最先端分野まで幅広く活用されている。群馬の森に隣接する高崎量子技術基盤研究所(以下、QST高崎研)は10月25日㈰、施設を一般公開する。普段は入れない大型研究施設の見学や実験体験など、科学を身近に感じられる企画が盛りだくさん。研究内容や当日の見どころを担当者に聞いた。

60年以上、高崎で量子を研究してきた国立研究機関
―QST高崎研はどんな施設ですか?
量子科学技術研究開発機構(QST)が全国7カ所に置く研究拠点の一つです。前身の日本原子力研究所時代から、群馬の森の隣で60年以上にわたり研究を続けてきました。現在は「量子」を使った研究開発の中核拠点として、暮らしや産業に役立つ研究開発に取り組んでいます。
―QST高崎研ならではの特徴は?
イオン、電子、ガンマ線という3種類の「量子」のビームを扱う設備を一か所で備えていることです。
「量子」は物や光をつくっている目に見えないほど小さな存在のことで、QST高崎研では色々な種類の「量子」を同じ方向へそろえて束のようにしたビームを作り、このビームを使った研究開発で優れた成果をあげています。
目には見えませんが、材料や植物などに照射することで、物を丈夫にしたり、植物や微生物から新たな特徴を引き出したりできます。こうした特性を生かし、私たちが日々使う製品や口にする食品など、暮らしに直結する新しい材料や技術を生み出していることが、QST高崎研の大きな特徴です。
暮らしに息づく研究成果
―身近なところでは、どのように使われていますか?
車のタイヤや電線ケーブルを熱に強く丈夫にする技術や、植物の品種改良などに活用されています。植物の品種改良では、花びらの形が華やかな菊が生まれました。さらに、群馬県との共同研究では、甘い香りを生み出す日本酒酵母も誕生しました。この酵母を使った日本酒は、県内でも販売されていますから、研究成果を実際に味わうことができます。
―特に力を入れている研究は?
人工ダイヤモンドを使った「量子センサー」です。特殊な加工を施したダイヤモンドに緑色の光を当てると赤く発光し、温度や磁気などのわずかな変化を捉えます。将来は体内の小さな異変を見つける医療や、車などに使われる半導体の不調を早く察知する技術への応用が期待されています。こうした研究をとおして異常を早く見つけ、事故や停止を防ぐ「故障ゼロ社会」を目指しています。

見て、触れて、科学を楽しもう。施設公開は10月25日㈰
―施設公開では何が体験できますか?
普段は立ち入れない研究施設を、安全を確保した状態で見学できます。魔法のプラスチックや量子センサーの実験、スライム作り、高校生による科学研究発表会、マスコット「きゅんビィ」とのグリーティングなどを予定しています。キッチンカーも並び、プロサッカーチームによるサッカー教室は事前予約制です。
―読者へメッセージをお願いします。
毎年多くの方々にご来場いただき、ありがとうございます。皆様のおかげで今年47回目を迎えることができます。「量子は難しそう」と身構えなくても大丈夫。研究所の存在は知っていても、何をしているのか分からなかったという方にも、ぜひ足を運び、「量子」の世界でワクワクしてください。

■第47回 QST高崎研 施設公開
【日 時】10月25日㈰ 10時~16時最終入場15時30分、雨天決行)
【会 場】高崎量子技術基盤研究所 高崎市綿貫町1233
【入 場】無料
【駐車場】あり
【問合せ】管理部庶務課
☎027・346・9232
※サッカー教室は事前予約制
最新情報は下記から
・公式ページ https://www.qst.go.jp/site/taka/20261025.html
・X https://x.com/QST_Takasaki
・Instagram https://www.instagram.com/qst_takasaki/