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前橋・赤城南麓を探訪 社殿が北をむく今井神社古墳
半年以上にわたって続いた赤城山南麓の古墳巡りもこれで一区切り。これから紹介する今井神社古墳は国道50号からほど近く、駐車場も完備されているから訪問しやすい。前回訪れた荒砥富士山古墳から車で10分ほど南西に移動し、荒砥川の東岸に立地する今井神社の境内にある。
今井神社は、古代日本の七街道の一つ東山道に面し、高い古墳の上から村を守る北向きの神社としても知られている。うっそうと生い茂る樹木に覆われた古墳に向かって真っすぐ伸びる参道は、そのまま石段へと続く。石段の手前に立つ説明板によると、全長71メートルの前方後円墳で、後円部直径44メートル、前方部幅50メートル、墳丘の周囲には馬蹄形の堀がめぐり、墳丘上には円筒埴輪の配列が確認されているとのこと。
早速、石段を上ってみると、後円部の墳丘上に北向きに建てられた立派な神社社殿が鎮座している。さらに進んでくびれ部を過ぎると、今度は前方部の墳丘上に「北向き観音」が、名前のごとく北向きに建立していた。墳頂から南を眺めると、前方部が左右に大きく張り出しているのがよく分かる。
そして、最も気になるのが埋葬施設。後円部の中央に竪穴式石室が認められ、「組み合わせ式石棺」が確認されている。社殿建立の際に取り出されて、石材の一部が境内に残存しているから間近で見られる。案内板のすぐ横に積み上げられたその石材は、四隅に縄掛け突起があり、どうやら石棺の蓋石のようだ。これらのことから、今井神社古墳は5世紀後半の築造と考えられている。次回から高崎の古墳を探訪するのでお楽しみに。
◎所在地 前橋市今井町818
◎取材協力 前橋市教育委員会