サイクルトレインで訪ねる小さな旅 2024年02月16日号

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上信電鉄 高崎市、甘楽町 サイクルトレインで訪ねる小さな旅

高崎から下仁田まで、営業キロ数でいえば33・7キロを運行している上信電鉄。この列車に自転車をそのまま積み込めるサイクルトレインが話題になっている。沿線には世界遺産・富岡製糸場を始め、観光スポットが点在し、それらをサイクリングでつないでいくショートトリップが楽しめる。

普段乗っている自転車をそのままに

0番線ホームから電車に乗り込む

 上信電鉄が高崎から下仁田までの区間で、乗客とともに自転車を載せてくれる「サイクルトレイン」を始めている。スポーツ自転車を楽しむ人たちは、自転車を分解して専用の袋に収納し、公共交通機関で移動しながらサイクリングを楽しんでいるが、それをさらに手軽に、自転車をそのまま列車に載せ、降りた駅からサイクリングが楽しめるのだ。普段使っている自転車そのままでいいのだから、これを利用しない手はない。

 というわけで高崎駅まで自転車をキコキコ。券売機で切符を買い、自転車を押しながら上信高崎駅の改札を通るのはなかなか新鮮な体験だ。自転車に乗れるなら誰でも、子連れのファミリーなどにもぜひオススメしたい。

 朝9時過ぎの下仁田行き、2両編成の列車に乗客はまばらで、自転車を持ち込んでもあまり迷惑にはならなさそうだ。「私も自転車に乗るのですが、そのまま持ち込んでいいんですか?」と話しかけられたりして、楽しいスタートとなった。

吉井から甘楽町へサイクリング

小幡郷に向けて軽快なダウンヒル

 吉井駅で下車、今日はここから15キロほど、半日行程のサイクリングだ。コース上にはめんたいパークやこんにゃくパーク、道の駅甘楽などの施設が控えているが、クルマでなく自転車ならそれらをつなげて走ることができる。駐車場の心配をすることはなく、立ち止まって道ばたの花を写真に収めるのも自由だ。健康に良さそうな点もポイントが高い。

 上州新屋駅からは県道を南へ向かい、上信越道をくぐれば天引だ。公衆トイレを過ぎ、小幡の道標に従って甘楽カントリークラブへの坂道を上る。距離は600mくらいだがなかなかキツい坂なので、変速ギヤがない自転車はいさぎよく押す方が楽だ。いったん下って白倉川を渡り、もう一度短い坂を上ればまもなく小幡の町並みに着く。

桜の時期が楽しみな小幡の町

春の桜が待ち遠しい城下町

 甘楽町小幡の古い町並みはとても風情があり、南北に流れる雄川堰沿いの道には桜の木が植えられ、開花の時期には桃源郷のような景観が堪能できる。

 この町の大きさが、これまた自転車にちょうどいい。雄川堰遊歩道を押し歩き、江戸時代の松浦氏屋敷を訪ね、喰い違い郭を見る。歩いたら1時間は楽にかかりそうな静かな名所たちが、自転車なら散歩気分でぐるりと回れてしまうのだ。小幡最高、自転車もこれまた最高なのである。

昼食は道の駅甘楽道のおきりこみうどん
富岡製糸場
上州富岡駅

 帰りの列車は上州富岡駅から乗ることにした。富岡といえばもちろん世界遺産、富岡製糸場も見ていこう。駐輪場は正面入口のすぐ手前、旧韮塚製糸場のところに用意されていて、駐車場を探す苦労もないのが自転車のいいところだ。富岡製糸場から上州富岡駅まで、自転車なら5分とかからない。自転車の機動性、そして上信電鉄沿線の数々のスポットに満足しながら、上り列車に乗り込んだ。

 なお、乗り降りできる駅は高崎、吉井、上州福島、上州富岡、下仁田に限られるほか、朝の通勤や通学の時間帯は載せてもらえない、また上州福島駅は利用できない時間帯があるなど、いくつか気をつけたい点がある。利用の際は必ず事前に上信電鉄の鉄道部に電話で確認してほしいとのことだ。

(フリーライター╱大前仁)

お問い合わせ
上信電鉄株式会社  鉄道部
TEL027・323・8073

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