すごいゾ!古墳 第57回 前橋・赤城南麓を探訪

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住宅地に残る 荒子杉山古墳

 今回紹介する荒子杉山古墳は、前回訪問した正円寺古墳から東へ5キロの地点に位置する。先に伝えておくが住宅地の中にポツンとあるから見つけづらい。探し当てるにはカーナビや地図アプリの利用をお勧めしたい。

 現地の様子は、北側の路地に面して小高い墳丘が見られる。東・西・南側の三方が住宅に囲まれてとても窮屈そうだ。よくぞこの場所に残してくれたと感心する。墳丘の南側に回ってみると大きめの石がいくつか見られるが、古墳に使用された石材かどうかはわからない。

 路地沿いに設置された説明板によると、この地域はかつて荒砥村と呼ばれ、昭和10年頃には365基の古墳が確認されていた。戦後の畑地拡大や昭和50年代以降に実施された土地改良事業によって、多くの古墳が削平されたが、同古墳は墳丘の東側が4分の1ほど削られていたものの、形状を留めていたという。試掘調査は2度行われ、周堀や石室の入り口の一部が確認された。土師器や須恵器の破片も見つかっている。石室は輝石安山岩を使用した切石切組積みの精巧な造りと判明し、関係者の協力で周堀は地中での保存、墳丘は現状での保存となった。7世紀中頃から後半における赤城山南麓を代表する古墳のひとつとして、平成22年3月に前橋市の史跡に指定されている。

 説明板には荒子杉山古墳のカラー写真も載っているが、だいぶ今とはたたずまいが違っている。左右にはまだ家は建っておらず、なにしろ墳丘の上には大きな1本の木が伸びやかに枝葉を広げている。伐採されていなければシンボルツリーとして見つけやすい古墳だったに違いない。

◎所在地 前橋市荒子町1188-19
◎取材協力・写真提供 前橋市教育委員会

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