12月中いつでも どこでも だれでも サンタに
クリスマスごみ拾い
きれいなまちをプレゼントしよう!
クリスマスの朝、目を覚ますと枕元にそっと置かれたプレゼント。「包みを開けた時のワクワクを今でも覚えている」という人は多いだろう。包みではなく、窓を開けたとき目の前にきれいなまちが広がっていたら⁉ごみ拾いをして地域にきれいなまちをプレゼントする「クリスマスごみ拾い」を10年前から続ける高崎市立佐野中学校の田中宏巳校長と生徒たちにやりがいや喜びを聞いた。
楽しいから続く活動
12月のある朝。高崎駅の東側に位置する市立佐野中学校周辺には毎年、可愛らしいサンタクロースたちが姿を現す。手にしているのは、大きな白い袋ではなく、乳白色のごみ袋とトング。贈るのは、ごみのないきれいなまちだ。
同校が、この活動に取り組むようになったのは2016(平成28)年。活動を呼び掛けた先生、興味を示した生徒など10数人でこぢんまりと始めた。赤い帽子をかぶったり、サンタクロースの衣装を着たり、ヒゲをつけたりとクリスマスムードを盛り上げるアイテムを身につけると、気分も上昇。ごみ拾いが楽しく感じられ「来年もやりたい」という生徒たちの声が毎年受け継がれているという。
全国に広がるサンタたち
「クリスマスごみ拾い」を考案したのは、兵庫県の小学校教諭・西村徹さん。「クリスマスは贈りものをする日。地域のごみを拾って美しいまちをみんなにプレゼントしよう」と2014(同26)年に始まった。趣旨に賛同した人たちによって今では全国各地に広まり、昨年は11都道府県の34カ所で開催。およそ1000人もの人が参加したという。
終了後は、全国から届く報告を元に西村さんが「クリスマスゴミ拾い新聞」を発刊。そこには「ゴミではなく運を拾っている、と言った大谷選手のようにみんなで運を拾えた」「ありがとう、と声をかけられてうれしかった」という喜びの声や楽しそうな写真が並ぶ。
参加は至って簡単。帽子や服などサンタクロースをイメージさせる赤いものを身につけ、都合のつく日に交通に気を付けてごみ拾いをするだけ。これだけで、誰でも地域に喜びを贈るサンタになれるというわけだ。各自のペースで無理なくできるのもうれしい。活動の広まりが把握できるよう、西村さんに連絡をすることも忘れずに。
贈るだけでなく贈られた⁉
さて、話を佐野中学校の活動に戻そう。同校では昨年、生徒や先生だけでなく、過去に「サンタ」を経験し、今では高校生や大学生になった卒業生、保護者など同校に縁のある60人が集結。活動をするにつれて目が慣れ、隠れたごみを見つけたり「ここにありそう」という勘が働くようになったりするという。目立ったのは、飲み物の缶やペットボトル、ビニール袋やタバコなど。植え込みの中に潜んでいるごみも多く、45ℓのごみ袋8袋分にもなった。
生徒会会長の池田明生さん(2年)と副会長の石川瑠唯さんは「参加を呼びかけることで、今まで接点のない友達と話すきっかけになった。きれいなまちをプレゼントしたつもりだったけれど、逆に楽しさや友達との交流というプレゼントをもらった」とニッコリ。今年は16日に活動を予定している。
クリスマスまで10日ほど。今年は、あなたもぜひサンタに。地域にも自分にも、きれいなまちと、うれしい気持ちのプレゼントをしよう。
◆取材協力
高崎市立佐野中学校
◆クリスマスごみ拾いの報告は西村さんへ
kw97cb@bma.biglobe.ne.jp