車王国だから知っておきたい、試したい。 CO2削減になって身体も喜ぶ 電車とバスに乗ることで生まれる豊かな暮らし 2026年03月20日号

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群馬県は、全国有数の車保有率を誇る車王国。「車がなければ生活できない」と思い込んでいる人も少なくない。しかし本当にそうなの? 公共交通を積極的に利用することで、車がなくても困らないばかりか、CO2削減につながり、将来の不安も減る。そんな暮らしを実証している団体がある。それが「のりのり学会」(奈賀由香子代表)というユニークなネーミングのグループだ。同会の取り組みから、自分たちが始められる試みを探る。

目次

誰のためのガソリン代?

 さて問題です。ガソリン価格が1L170円として、体重65㎏の人が車(※)に乗って移動するとき、その人を運ぶために使われるガソリン代はいくら? 答えは、たった10円。170円のうち、実に160円分は車体そのものを動かすために使われているのだ。※車はマツダデミオを想定
 驚くべき数字ではないだろうか。私たちは人を運んでいるつもりで、実際には車を移動させるために多くのエネルギーを費やしている。日々の通勤、買い物、送迎。何気ない移動の積み重ねが、実は大きな燃料消費とCO2排出につながっている。

CO2削減の鍵は自動車

 「のりのり学会」は、2018年に設立。20代~80代まで18人のメンバーからなる。代表の奈賀由香子さんによると、群馬県のCO2排出量(グラフ1)で、国の割合(19・2%)を上回るのが運輸部門(群馬県は27%)。そして家庭からのCO2排出量(グラフ2)のうち、自動車が占める割合は4分の1以上にもなる。多いところから見直せば、CO2削減効果も大きいのでは? と考えたことが、設立のきっかけという。
 「近くにバス停がない、と言う方が多いのですが、知らないだけでたいていは半径500m圏内のどこかにある」と奈賀さん。そして「移動方法を少し変えるだけで暮らしも、楽しみも、未来も変わる」と言う。

公共交通で県内外へ

 同会では実際に公共交通機関を使い、県内外へ出かける実証ツアーを実施している。伊香保、下仁田、草津、大間々、館林、水上、軽井沢など行き先はさまざま。メンバーは、それぞれ最寄り駅から乗り込み、電車やバスを乗り継ぎながら目的地へ向かう。
 車移動と違い、誰か一人がハンドルを握るわけではない。「全員が同じ立場の乗客。車窓に広がる景色を一緒に眺めると、自然と会話が弾みます」と奈賀さん。移動そのものが、みんなが平等に楽しめる時間になる。
 印象深い体験として挙げるのが、下仁田ツアー。名物料理を味わい、珍しい地層を見学し、川辺で涼んだ。寄り道の面白さを満喫し、運転の心配がないためビールも堪能できた。また、500円以上の飲食や買い物で帰りの乗車料が無料になるキャンペーンがあったため、お得感も味わえた。

実証ツアーでの様子。上毛電鉄サイクルトレイン、ワンディツアー、谷川ツアー、草津のバスターミナル、下仁田GoGoキャンペーン

「乗ること」で不安解消

 今から約一年前、奈賀さんは自家用車を手放した。家族も同じ決断をし、現在、家庭で所有する自家用車はない。
 「お米や猫砂など重いものの購入が不安で決断を迷いましたが、実際には全く困らない」ときっぱり。重い物は一度にまとめず、少量を数回に分けて購入するよう工夫した。近所に出かけるときはもっぱら徒歩。歩く時間が増え、体調も良くなったと感じている。さらに大きかったのは気持ちの変化。出先での駐車場探し、渋滞での焦り、事故への不安がなくなり「ホッとした」と笑顔を見せる。
 もちろん課題はある。運行の本数は限られているし、乗り継ぎが不便、運賃の仕組みが複雑など「身近にあるけれど使いづらい」という心理的ハードルも大きい。それでも「利用しなければ衰退の一途をたどる。逆に、一度体験すれば、案外なんとかなることがわかる」と奈賀さんは力を込める。
 まずは一度、電車やバスに乗ってみよう。買い物に行くのもよし。家族や友人と小旅行気分で出かけるもよし。その小さな一歩が、新しい景色を見せてくれるかもしれない。
 のりのり学会の活動は、Facebookで発信中。

「乗り慣れておくと今後の人生が豊かになります」と代表の奈賀さん

のりのり学会 おすすめ

◆ぐるりん
高崎市が運営するコミュニティバス。交通系ICカード利用可で便利

◆GunMaaS(ぐんまーす)
電車、バス、タクシーなど県内の交通手段をスマートフォンなどで検索・予約・決済まで利用できるサービス。高崎市内の65歳以上は20%off
https://g3m.jp/?utm_source=qrcode&utm_medium=lp

■取材協力・問い合わせ先
のりのり学会
Mail : norinori.gakkai@gmail.com
Facebook

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