すごいゾ!古墳 第84回 稲荷塚古墳

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上中居諏訪神社に所在する ヒイラギが見守る稲荷塚古墳

稲荷塚古墳

 高崎市には古墳の穴場スポットがまだまだ存在する。今回から市内の東部に残る古墳を紹介していきたい。

 高崎環状線と国道354号線が交わる上中居町北交差点にほど近く、住宅地の中にひっそり静かに所在する上中居諏訪神社。社殿がヒイラギの木に守られるかのように取り囲まれていることから「ひいらぎ様」と呼ばれ、地域住民に親しまれている神社だ。

 この神社もまた社殿が古墳の上に建っている。稲荷塚古墳と名乗るこの古墳は、直径約20メートル、高さ約2メートルの円墳。墳丘はかなり削られており、実際はさらに高さがあったと考えられる。築造時期や埋葬施設などの詳細は明らかになっていないが、埴輪の破片が出土しているようだ。

 参道に沿って正面の階段から墳頂へ上ると、社殿が中心に鎮座し、その周りをぐるりと一周できる。社殿の後方にはいくつものヒイラギの木が枝葉を伸ばしている。御神木にいたっては樹齢千年以上の古木とのこと。ちなみにヒイラギは古くから魔除けとして重宝されてきた。

 境内には石の祠や石像のほかに、無造作な「石」が随所に目に付いた。古墳と関わりのある石かどうかが気になるところ。気になると言えば、上中居町にはかつて大型の前方後円墳が存在していた。調査されずに削平されたため詳細は分からないが、明治時代の地割図から全長130メートル級の前方後円墳であることが推定されている。築造時期も不明ではあるが、5世紀代ではないかという説がある。もし現存していたら、県内でも最大級の前方後円墳だったであろう。

 補足になるが、上中居諏訪神社には看板猫の居る「猫神社」としても知られている。御朱印も充実しているから、古墳巡りと併せて社務所にも立ち寄ってみるといいだろう。

◎所在地
 高崎市上中居町1228
◎取材協力
 高崎市教育委員会
 事務局 文化財保護課

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