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手仕事光る創作和食

この道30年の料理人、小山渉一さんが営む小さな和食店。昼夜ともにおまかせコース1本で勝負する。席は12のみ。ランチコース3800円をいただいた。
最初に運ばれてきたのは「宝石箱サラダ」。白い大皿に、無農薬のエディブルフラワーと野菜が鮮やかに配置され、思わず心の中で歓声を上げる。自家製ポンズとフレンチを合わせた和風仕立てのドレッシングで、あと味はすっと軽い。
続く前菜8種は木箱に収まり、器も料理も端正だ。高崎市・松田豆腐店のおぼろ豆腐にカツオだしのジュレをのせた一品は、口に含むと旨味がほどけていく。なかでも驚いたのは筑前煮。レンコンやゴボウは歯ごたえを残しつつ、鶏肉の旨味が具材全体に行き渡る。照りは十分なのに重さがなく、食材の輪郭だけが浮かび上がる。日常的な料理をここまで整えて出してくる技は感動もの。
メインは信州プレミアムビーフのすきやき風。織部の器に盛られ、牛肉の柔らかさとお揚げの甘みが重なり合う。甘楽町産「きぬひかり」との相性もよく、噛むほどに一体感が増す。十石味噌の味噌汁、自家製のキュウリ、大根、梅干しの漬け物もご飯を支える名脇役である。


コースの締めは、ブドウのレアチーズケーキ、琥珀糖、ニンジンのジェラートの3種。甘さに頼らず素材の風味を生かした仕立てで、最後まで手仕事の丁寧さが垣間見える。華やかさではなく、積み重ねた技と誠実さで魅せる料理。その余韻は店を出ても静かに続いていた。

馳走CO-JIRO(コジロウ)
住所/高崎市八千代町1の12の5 仲沢ビル1F
電話/027・384・3874 完全予約制(前日まで)
営業/11時30分~14時 (L・O・13時)
17時30分~22時 (L・O・料理19時30分 ドリンク21時30分)
休日/月曜、第2・4火曜
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