すごいゾ!古墳 第83回 オトウカ山古墳

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井野川右岸のエリアを巡る 工業団地に佇むオトウカ山古墳

オトウカ山古墳

 前回は小八木町の鏡宮神社敷地内に現存する古墳時代の祭祀巨石を紹介した。そこから西へ1キロ足らずの場所に1基の古墳が残されている。南北に走る高崎渋川線バイパスを西へ向かって横断すると、工業団地の北方向に雑木林が見えてくる。このうっそうとした藪の中にオトウカ山古墳が存在する。残念ながら墳丘に上ることも埋葬施設を確認することもできないが、古墳に沿うように細道がカーブしており、間近で見学できる。

 古墳の大きさは径約45メートル、高さ約3メートルの円墳。資料によると墳丘上には大きな石が露出していて、それが横穴式石室に使われていたものと思われる。墳丘の西北側の調査をしたところ、浅間山の軽石層下から水田を検出したが、周堀の確認には至っていない。調査の際には多量の河原石と埴輪片が出土。河原石は葺石に使われていたものと思われる。埴輪の種類はおもに円筒埴輪のほか、人物の腕、馬の鈴、鳥の頭などの形象埴輪の破片も見つかった。

 すでに消滅しているが、この小八木地区に隣接する諸口地区にはかつて3基の古墳からなる諸口古墳群が存在していた。この辺り一帯は約1万年前の榛名山の噴火に起因する陣馬泥流が認められ、「流れ山」と呼ばれる泥流丘が散在していた。墳丘はこの小丘を利用して削り出して成形し、その上に土を盛り上げて築造している。おそらくオトウカ山古墳も同様に構築されたと考えられる。

 ちなみに古墳名の「オトウカ」にはどんな意味があるのか。気になって調べたところ漢字で「御稲荷」と書く。お稲荷さんと呼ばれる稲荷神社の神使は「狐」とされている。つまり「オトウカ」は狐を意味しているそうだ。

◎所在地
 高崎市小八木町290の4
◎取材協力
 高崎市教育委員会
 事務局 文化財保護課

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