依然として後を絶たない詐欺被害。詐欺は大きく分けて「特殊型」と「SNS型」があり、巧妙化する手口で被害者を精神的に追い詰め、冷静な判断力を奪うやり方が目立つという。最近の詐欺の特徴、手口、注意点などを、高崎警察署生活安全課の由元(よしもと)昌志さんに聞いた。
被害件数も額も高止まり
今年、高崎警察署管内で起こった詐欺被害の件数は14件(8月末現在)、被害総額は1億円超。「昨年とほぼ変わらず高止まりが続いている」と、由元さんの表情は厳しい。というのも被害額は昨年とほぼ変わらないが、一昨年と比べると1件当たりの被害額は2・5倍近くに上っている。

増える劇場型オレオレ詐欺
■特殊詐欺
中でも多いのがオレオレ詐欺。特徴は「オレ」と子どもや孫を装うのではなく、警察官役や検事役などが次々に登場する劇場型で、さまざまな名乗り方がある。
◎名乗り方
通信事業者、郵便局・宅配業者、家電量販店など
◎手口
通信業者の場合、自動音声で(ショートメールやメールの場合もある)「料金が未納」という連絡が届く。郵便局や宅配業者は「不在のため、荷物を持ち帰りました」というメッセージが流れる。家電量販店は、「カードが悪用され、交換・利用停止しないと大変」と、深刻な状況であるかのように語る。いずれも、警察官役、弁護士役などが電話口に現れ「自分の身に重大な事件が起きている」と信じ込ませ、冷静な判断力を奪う。
◎詐取方法
「手続きのために暗証番号が必要」とカードの暗証番号を聞き出す。未納料金の支払い名目で電子マネーを購入させ、その番号を伝えさせる。
◎由元さんからの注意
「正規の企業が料金請求の電話を自動音声でかけてくることはありません。万が一オペレーターにつながってしまったら、個人情報は教えないこと。一旦電話を切り、高崎警察署に電話を」
最終的には投資勧誘、SNS型
SNS型詐欺には、投資型とロマンス型がある。入り口がロマンス型でも、結果的に投資に誘われる。
◎入り方
投資型は、誰もが知る著名人や経済評論家などを装い、信頼させた上でLINEなどに誘導。ロマンス型は恋愛感情や親近感を抱かせた後、投資話を持ちかける。
◎手口
少額の投資額を入金させ、見かけ上の利益(実際に振り込まれることも)を出して、信じ込ませる。
◎詐取方法
信用させた後で「大きなチャンス」「追加投資すればもっと儲かる」と多額の資金を入金させる。その後「出金するためには税金や手数料が必要」とさらなる金銭を要求したり、連絡を突然絶ったりする。
◎由元さんからの注意
「投資初心者は、金融機関の窓口で投資担当者に相談しながら始めましょう」
防犯対策電話録音機、無料貸出中
詐欺のきっかけで多いのは、自宅の固定電話。おすすめは、防犯機能付き電話機に代えることだ。着信時に警告メッセージが自動で流れ、通話内容が録音される機能が働くため、詐欺の標的になりにくい。高崎警察署では現在の電話に取り付け可能な「防犯対策電話録音機」を無料で貸出中。期間は1年間。利用しない手はない。
「上州くん安全・安心メール」を活用
群馬県警察では、群馬県内の防犯情報や交通安全情報などを「上州くん安全・安心メール」で配信中。登録すると、携帯電話やスマートフォンに情報が届く。登録料は無料。
上州くん安全・安心メール:https://plus.sugumail.com/usr/gunma-police/home

■取材協力
•高崎警察署
Tel. 027・328・0110
•群馬県警察振り込め詐欺 被害防止ホットライン
Tel. 027・224・5454