利根川を世界一美しい大河に 「REBLUE」 ゴミ拾いプロジェクト始動 2025年08月22日号

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「利根川をゴミのないきれいな川にしよう」。高崎市在住の小澤淳史さん(33)が、代表を務めるNGO団体「REBLUE(リブルー)」は『利根川まるごと一本ごみ拾いプロジェクト』に取り組んでいる。
これまでに1・4tを超えるごみを回収し、協力者は続々と増加中。「利根川流域4県41市町村の人々が一斉にゴミを拾う日が生まれたら」、そんな夢を抱きつつ、静かに、だが力強く歩み続けている。

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元教員、環境を伝える人に

 「自分にしかできないことがあるのでは」。そんな思いから5年間携わった教職を辞し、小澤さんは環境の現場へと歩み出した。大学、大学院で環境デザインを学んだ経験を土台に、環境系YouTuberとして活動を始めた。
 最初は地理や自然に関する豆知識を発信していたが、転機となったのは登録者数500人を記念し、烏川の源流から川を下りながらごみを500㎏拾うという企画だった。
 「相当の距離を歩くのだろうな」と予想していたが、「開始からわずか200mで500㎏に到達してしまった。まさにあっという間。こんなにもゴミがあるのか」。その衝撃は、価値観を一変させるほどだった。
 以後、河川周辺のゴミ問題に特化した動画を投稿。日本でも深刻なゴミ汚染が身近にあること、そして誰かが動かなければ何も変わらないことを、自らの足で確かめながら発信し続けている。

1・4tの重み、社会の無関心も

 2024年9月、「利根川まるごと一本ごみ拾いプロジェクト」をスタートさせた。年間70tのゴミを海に排出する日本一ゴミが多いとされる利根川を、源流の藤原湖から海まで“まるごと一本”清掃していくのだ。
 第一弾は700㎏、第二弾の今年4月は800㎏を回収。わずかな距離にもかかわらず、すでに1・4tを超えるゴミを拾い上げた。ビニール袋、30年以上前のプルタブ付きのアルミ缶、テレビ、バイク──。
 「人知れず朽ちかけているものもあれば、大胆に放置されているものもあった」。拾い集めたのは、時代を超えて置き去りにされたゴミと、それに気づかないまま過ごしてきた社会の姿でもあった。
 活動には、小澤さんの教え子や、企業ボランティア、元教員仲間らが参加。みなかみ町からはゴミ袋の無償提供やゴミの回収協力も得ている。

41市町村が動く日を夢見て

 さらに行動を加速させるため、NGO団体「REBLUE」を設立。
 利根川は群馬・埼玉・茨城・千葉の4県を流れ、41の市町村を通って海に注ぐ。「この流域すべてで同じ日にゴミを拾えたら、世の中は変わるかもしれない」。それが今の小澤さんの目標だ。
 地域ごとに団体や企業が清掃活動を行い、映像を撮影・共有する。どんなゴミが、どんな景色の中にあったのか。地元の空気や人の姿を映し出しながら、SNSやYouTubeで広く発信する構想を描いている。「ただ拾うだけでなく、楽しく、意味のある行動として広げていきたい」と語る。
 小澤さんのYouTube番組「地球ONEチーム」の登録者数は現在約6900人。利根川まるごと一本ごみ拾いプロジェクトの第三弾は9月中旬を予定している。軍手、長靴、長袖長ズボンを用意すれば誰でも参加できる。申し込みは公式ホームページのQRコードから。
 「利根川がきれいになれば、海のゴミもきっと減らせる」。そう信じて、小澤さんは今日も歩き、拾い続けている。川の流れに、希望を重ねながら。

この回収地点だけで約540kgの生活ごみや粗大ごみを回収した

REBLUE 公式ホームページ
https://www.reblue-ngo.com/

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