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山麓で味わう極上海の幸

榛名山の麓で海のご馳走に出合った。魚屋の父に育てられ、19歳で包丁を握った店主・小野里弘雅さんが手がける料理には、魚への愛情と確かな目利きがある。
注文したのは「莫山定食」。刺身、天ぷら、煮魚、サラダ、小鉢、糠漬け、ご飯、そしてアラ汁まで付いた豪華な定食で、2198円と破格。1日わずか4食限定のため開店と同時に売り切れ必須だが、予約すれば2750円で確実に味わえる。
まず目を引くのが刺身の7種盛り。生タコには細やかな飾り包丁、分厚く切った赤身と中トロのマグロは「元魚屋の心意気」。赤貝や白身魚、甘エビも新鮮そのもの。山の中にいることを忘れそうになる。
この日の煮魚はカレイ。ゴボウ、ショウガと一緒に強火で一気に炊き上げ、ふんわり柔らか。天ぷらは大きなエビと旬の野菜がカラリと揚がり、サクサクとした軽い口当たりが心地よい。
魚を余すところなく使うアラ汁も絶品だ。タイの頭などを1時間以上煮込み、旨みがたっぷりと溶けだしたところに、味噌を投入。柚子の香りがふわりと鼻に抜け、心まで温まるよう。
連れが頼んだ海鮮ちらし寿司定食も豪快だった。こちらも厚切りの刺身がどっさりとのり、しゃきっとした酢飯と絶妙に調和する。

店名は“書道界の風雲児”榊莫山氏から。子どもの頃、天然パーマが似ていると言われた。今後も莫山氏のように自由に新しさを探っていってほしい。

莫山
住所/高崎市本郷町95の7
電話/090・4747・3922
営業/
【水~金】11時~14時(L・O13時45分)
【土・日】11時~14時(L・O13時45分)、17時~21時(L・O20時30分)
休日/月・火曜