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旧群馬町エリアを巡る 庚申古墳群 B号墳・G号墳

高崎市金古町の庚申地区一帯は、かつて一大古墳群だったという。「日本絹の里」周辺の染谷川左岸の台地上に分布し、庚申古墳群と呼ばれている。今では数少ない古墳が残るのみとなっているが、その中から庚申B号墳、庚申G号墳の2基を紹介したい。
庚申B号墳は古墳時代終末期の7世紀後半に築造された。二段築成の円墳で、墳丘の直径は約12メートルと小型ながら石室に特徴がある。両袖型の横穴式石室は精緻に切石が積まれ、当時の最高技術が用いられている。榛名山南東麓地域では希少な切石積み古墳で、高崎市の歴史を知る上で重要な文化財であることから、平成28年には同市の史跡に指定された。
ところが、実際に現地へ行ってみると案内板は見当たらず、「これが古墳?」と思わず疑ってしまうほど。墳丘の高まりはわずかで、石室は埋め戻されており、大きな石がゴロゴロと散乱していた。過去の調査によれば、葺石や周堀も確認されているようだ。わずかな古墳の面影を感じつつ、気を取り直して、もう一つの古墳を探しに徒歩で向かった。
直線距離で南東方向に100メートルほどの場所に庚申G号墳が所在する。とは言え、運送会社の敷地内にあるため、道路側から見える範囲内での見学となった。墳丘の西側はフェンスによって大きく削られてはいるものの、比較的残りの状態は良さそうだ。なにより削平せずに現状保存されていること自体が素晴らしい。平成5年の確認調査によると、南側に前庭部の右側壁が検出された。葺石は未確認で、墳丘上から須恵器の小さな破片が出土している。見学する際は、くれぐれも敷地の外から眺める程度にとどめてほしい。
◎所在地 高崎市金古町 929-1、841-1
◎取材協力 高崎市教育委員会 事務局 文化財保護課