すごいゾ!古墳 第71回 安楽寺古墳

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壁面に彫られた7体の仏像を公開 本堂と連結する安楽寺古墳

安楽寺古墳

 今回はちょっと面白い古墳を紹介する。JR倉賀野駅南口からほど近い、旧中山道沿いに安楽寺という寺院がある。道路に面した南向きの門構えのその奥に本堂が鎮座し、さらにその裏手には竹の生い茂る小高い丘がある。この丘こそが安楽寺古墳である。驚くべきことに、墳丘に本堂が食い込んでいて、まるで一体化しているように見える。寺院建立の時に墳丘の一部が削り取られ、このような形状になったのだ。

 境内の説明板によると、安楽寺古墳は7世紀末頃の築造と推定される。直径20メートル、高さ4メートル規模の円墳で、周囲には堀らしきものが存在するようだ。埋葬施設は横口式石槨と呼ばれる珍しい形態で、南側に開口し、石室には凝灰岩の切石が使われている。羨道の奥に石棺を直接取り付けたような構造をしているという。昭和56年に県の史跡に指定されている。

 さらに特筆すべきは、石室の壁面に仏像が彫られている点である。鎌倉時代のものと思われる仏像が奥壁に3体、左右の壁に2体ずつ、合計7体彫られているのだ。これらは「七仏薬師」と呼ばれ、安楽寺の本尊となっている。通常は秘仏とされているのだが、12年に一度だけ「巳年」に開帳される。

 そして今年の干支と言えば巳年。待ちに待った御開帳年にあたる。安楽寺では毎年4月8日に花祭りを開催し、伝統行事の甘茶かけでお釈迦様の誕生日を祝い、無病息災を願う。12年に一度の本年は同日に御開帳を催し、七仏薬師を一般公開する予定だ。この機会を逃すと次回は2037年ということになる。桜の花が舞うこの時期に、貴重な秘仏を拝みに出かけては。

◎所在地 高崎市倉賀野町867
◎取材協力 高崎市教育委員会

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