気分は庄助さん! 朝湯・朝酒の宿
高崎市民には馴染みある温泉「相間川」。でも、行ったことはあるけれど泊ったことはないという人が多いのでは? そんなあなたを高崎駅から送迎バスで行く、1泊2日のプチ湯治旅へいざないます。
れっきとした温泉地
相間川温泉の話をすると、「よく行きます」という高崎市民は多い。ところが泊りで取材をしていることを告げると、「えっ、泊まれるんですか!?」と驚かれることがある。あまりに身近な温泉過ぎて、勝手に日帰り入浴施設だと思い込んでいるようだ。
しかし! 相間川温泉はれっきとした“温泉地”である。温泉地とは宿泊施設のある温泉のこと。だから正確にいえば宿泊施設のない日帰り温泉施設は、温泉地ではないのだ。
たぶん前述の高崎市民は、仕事終わりにクルマで、パーッと行って、ひと風呂浴びて、サッと帰ってしまっているのだろう。または休日に家族や友人らとランチをはさんだ日帰りで、手身近に旅気分を味わっているのではないか? でも、それでは本当の温泉旅は味わえない。何よりも酒が飲めないではないか!
ということで今回は、のん兵衛目線でのプチ湯治旅の体験ルポである。
某月某日、高崎駅東口から送迎バスに乗り込んだ。毎週木曜日に無料の定期便が出ている(2名以上、事前予約要。1名の場合は要相談)。これは便利だ! 車の運転が苦手な人や長距離ドライブが億劫な人にはお勧め。何より道中の景色を存分に楽しめるのがいい。
知られざる高崎の名湯
約50分後、相間川温泉の一軒宿「ふれあい館」に到着。バスは玄関前に横付けされるので、駐車場から歩く必要もない。らくらくチェックイン!
部屋に荷物を置いたら、まずはロビーでお茶代わりの缶ビールを一本。つまみは売店で購入した乾きもの。夕食時の本番に備えて軽くのどを潤し、小腹を満たしておくのが、のん兵衛の心得だ。理由はそれだけではない。これからの入浴での発汗に備えての水分補給も兼ねているのだ。
いざ、高崎の名湯へ。えっ、ここは名湯なのかって? よくぞ聞いてくださった。泉質はナトリウム・カルシウム―塩化物強温泉。その名の通り高濃度の塩分を大量に含んでいる。そのため保温力があり、湯冷めをしないのが特徴。ただし鉄分を多く含んでいるため、実際の温度よりもぬるく感じられるので長湯には注意! 浴室には、こんな標語が貼られている。︿カップラーメン お湯を注いで3分 相間川の温泉(おゆ) 入っても7分 これ以上は のびるだけ﹀。
この日も黄褐色の湯が湯船をたたえていた。ほんのりと漂う油臭。この石油のような独特な温泉臭こそが名湯たるゆえんである。時に湯面に油の膜が張り、日の光に照らされてキラキラと虹色に輝くことから「奇跡の湯」ともいわれる。






朝湯とくれば朝酒
一夜明け、浴室へ向かう渡り廊下の途中に、粋な貼り紙を見つけた。「あいまがわ節」(草津節の替え歌)とある。
一、相間川温泉 一度はおいで
ドッコイショ お湯の中にも
こ~りゃ 鉱物油(あぶら)浮くよ
チョイナチョイナ
二、鉱物油浮く湯は 希望の虹よ
ドッコイショ 西は浅間に
こ~りゃ 東榛名
チョイナチョイナ
三、芸者さまでも 相間川の湯でも ドッコイショ ほれて通えば
こ~りゃ 千里も一里
チョイナチョイナ
口ずさみながら湯に入れば、気分は極楽。もうもうと立ち昇る湯けむりに朝日が射して、なんとも幻想的な光景であった。
朝湯とくれば、もちろん朝酒である。ここは旧倉渕村、小栗上野介ゆかりの地酒「大盃」をいただく。納豆と海苔と焼き鮭という正しい日本の朝食に、箸と猪口が止まらない。朝酒の後は朝寝と洒落込むか? いやいや、それだけはやめておこう。庄助さんのように身上をつぶしかねない。
♪小原庄助さん なんで身上つぶした朝寝 朝酒 朝湯が大好きで それで身上つぶした ハァー モットモダ モットモダ 「会津磐梯山」より
ほろ酔い気分でバスに乗り込んだ。高崎駅までのわずかな時間、うたた寝が心地よい。1泊2日のプチ湯治旅が終わった。



