高崎髙島屋4階、紳士服売り場の一角にあるセレクトショップ「メゾンドエフ」が好調だ。高崎髙島屋のバイヤー、中里康宏さんが日本各地のモノづくりの産地へ出向き、選んだ洋服や雑貨を販売している。「作り手の想いを伝えたい」という中里さんに「メゾンドエフ」のスタートから現在までを聞いた。
作り手の想いを伝えたい
中里さんは昔からモノづくりに興味があったそうですね。
中里 はい。5年ほど前から休日を利用して、綿織物の静岡県浜松市や毛織物の愛知県尾張市など日本各地の産地を訪れ、工場見学をさせてもらったり、お話を聞いたりして勉強しています。
何に惹き付けられるのでしょう?
中里 作り手の想いです。モノづくりの現場というと高齢化、衰退化しているイメージがありますが、昨今は若い職人たちが参入し、新しいアイデアを出しながら和気あいあいと仕事をしている会社がたくさんあります。魅力的なファクトリーブランドも登場しています。一つ一つの商品にこだわり、情熱を注ぎ、高品質なものを生み出す…。この作り手の想いを消費者の方に広く伝えたいと強く思いました。
そして起こした行動とは?
中里 「モノづくりの現場と百貨店をつなぐセレクトショップを作りたい」という内容の企画を、髙島屋の社内起業制度に応募して採用されました。2020年3月、高崎髙島屋の4階、紳士服売り場に、小さなショップ「メゾンドエフ」をオープンさせることができました。
4年間で売り場面積5倍
とても好調だそうですね。
中里 お陰様で、当初は15㎡だった売り場が徐々に拡大し、4年後のいまは80㎡になりました。2023年度の売上も初年度比の2・3倍とうれしい結果です。消費者のニーズに合っていると確信しました。扱うアイテムも当初は10程度でしたが、いまはメンズ、レディス、ユニセックスの衣料のほか、衣料雑貨、生活雑貨、アクセサリーなど50を超えています。これからも魅力的なアイテムを増やしていきます。
商品の一例を教えてください。
中里 地元、桐生市の「トリプル・オゥ」の刺繍アクセサリーは根強いファンが多い商品です。不可能と言われた刺繍による球体を長年の研究により、実現し、立体的な美しさを醸し出しています。軽くて長時間付けても疲れない。汗をかいても洗えると機能面でも優秀。群馬のお土産として買い求める方も多いです。
愛知県にある「新見本工場」のジャケットやパンツ、ロングシャツも人気です。私がいま着ているジャケットは上質なウール100%で、軽くて薄くてしなやか。それでいてハリがあります。着心地も耐久性も抜群です。愛知県といえば毛織物の産地ですが、安価な繊維の影響で一時の勢いを失っています。新見本工場は、30代のデザイナーたちがそれに危機感を持ち、ウールの魅力をもっと発信しようと立ち上げた産地発ブランドです。
40、50代以降の方に特におすすめ
コストパフォーマンスの良さも魅力と聞きました。
中里 一般的な商品は工場から商社、アパレルブランドを通して、百貨店などの小売りに入ってきます。「メゾンドエフ」で扱う商品は工場と直接取引するため、上質なものを、価格を押さえて提供できるのです。
特にどんな方に「メゾンドエフ」をおすすめしたいですか?
中里 「何を着たらいいかわからない」、40、50代以降の男性のお客様からよくそんなご相談を受けます。「ファッション迷子になっているな」と感じたら、ぜひ、メゾンドエフを覗いてほしいと思います。程よく流行を取り入れていて、上質でリーズナブルな商品がそろっています。着こなしのご提案もさせていただきます。
SANCHOKU DEPARTMENT STORE
群馬県のモノづくりを集結したイベントが高崎髙島屋で10月22日まで開かれている。織物の街、桐生やニットの街、太田を中心に老舗工場によるファクトリーブランドや産地のモノづくりの現場と協業によるクリエーター、手仕事の作家が一堂に介する。
※詳しくはホームページでチェック!
太田市発の人気アパレルブランド
【to touch(トゥータッチ)】も登場します。
年齢に関係なく 日常を素敵に楽しむ女性に向けた 「触り心地が良く、肩のこらない服」をコンセプトに肌触りの柔らかい服を展開しています。
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高崎髙島屋 4階 メゾンドエフ
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