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井野川左岸のエリアを巡る 正観寺遺跡群の祭祀巨石

前回は貝沢町の五霊神社古墳を訪問した。そこから車で10分ほど北へ向かって小八木町へ。今回はちょっと寄り道をして、榛名山の南東麓に立地する正観寺遺跡群の巨石を紹介したい。目的地は中川小学校の向かい側に所在する鏡宮神社。この境内には古墳時代後期の巨石が安置されているのだ。
巨石は、境内の裏手の草むらの中にひっそりとたたずんでいた。あまり目立たないけれど説明板もしっかり立っている。この巨石は鏡宮神社の北西約250メートルのところから発掘された。周辺からは多数の竪穴式住居が確認され、古代の集落跡であることがわかっている。巨石の大きさは縦横約2メートル、高さ約1・1メートル、重量は約8トン。石質は榛名山の安山岩。加工された痕はなく、上下面がやや平らな形状の自然石だ。
発掘された集落内の最も標高の高い場所に大きな穴が掘られ、中央に巨石は置かれていた。その周りには土師器や須恵器、勾玉や臼玉、有孔円板や剣形の石製模造品などの祭祀具が出土。巨石とともに人為的に埋められたものと考えられている。これらのことから、巨石は6世紀後半の祭祀に関連するものと推定された。発掘調査終了後にこの場所に移され、現在に至っている。
古墳時代、榛名山は2度の大噴火を起こしている。果たしてこの巨石は運び込まれたものなのか、あるいは噴火の際に飛んできたものなのかは分からないが、榛名山を鎮めるために石を祀り、祈りを捧げたのだろうと考えられる。このほか、県内には赤城山麓の三夜沢赤城神社付近にて祭祀巨石が発見されている。
◎所在地
高崎市小八木町14
◎取材協力
高崎市教育委員会
事務局 文化財保護課