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井野川右岸のエリアを巡る 神秘的な五霊神社古墳

前回訪問した浜尻天王山古墳から南東へ約1キロメートル、緩やかにカーブする高崎環状線の西側に鎮座する、霊験あらたかな五霊神社の境内に古墳がある。墳丘に社殿が建っており、その名も五霊神社古墳と呼ばれている。地形は浜尻天王山古墳と同様に井野川右岸の川に近い微高地に位置する。
環状線に架かる歩道橋のすぐ近くに東を向いて立つ朱色の大鳥居が目印。鳥居をくぐった先には石段がまっすぐに伸び、拝殿とその奥に本殿が建っている。その土台となっているのが前方部を西に向けた前方後円墳だ。
神社に隣接する公民館の建て替えに伴い、平成24年に行われた発掘調査によると、現存する古墳の全長は約45メートル。後円部が大きく削られていることから、実際はさらに大きかったようだ。さらに幅約15メートル、深さ約1メートルの周堀を持ち、墳丘には埴輪列がなされていた。埋葬施設は確認できていないが、横穴式石室の可能性が高い。また後円部付近で角閃石安山岩の加工石材が散見されることから、綿貫観音山古墳と同様に角閃石安山岩の切石が石室に用いられた可能性もあるようだ。
出土した副葬品の中には銅鋺や金属製馬具などが存在し、綿貫観音山古墳や八幡観音塚古墳との共通性がみられるため、6世紀後半の築造と推定されている。これらの出土品は東京国立博物館に収蔵されている。
浜尻天王山古墳と共に井野川中流域の中核をなす重要な古墳として位置づけられている五霊神社古墳。境内には駐車場もあり、古墳の形を模した御朱印も人気があるそう。ぜひ、参拝を兼ねて古墳散策をしてみては。
◎所在地
高崎市貝沢町332
◎取材協力
高崎市教育委員会
事務局 文化財保護課