日本一の選手たちの心とカラダを育んできた 母の愛から始まった「健大めし」2025年03月21日号

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3月18日から始まっている選抜高等学校野球大会(以下、センバツ)。昨年は、高崎健康福祉大学高崎高校が初の全国制覇、県勢としても初のセンバツ優勝を果たし、地元を大いに沸かせた。現在、67人の部員のうち55人が「健心館」と「第二健心館」の二つの寮で生活。この寮ができる前から「食」で部員たちを支える立役者に、これまでの経緯と思いを聞いた。

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一日3食、寮で食事

 「こんにちは!」という元気な挨拶とともにグラウンドに隣接する寮、「健心館」の食堂に続々と部員たちが集まってきた。彼らは、日曜日を除く毎日、3食を寮でとるという。
 昼過ぎから練習が始まるこの日のメニューは、摂取後、素早くエネルギーに変わる炭水化物が中心。部員たちは、肉や野菜がたっぷり乗ったうどんをトレーに載せたあと、鶏肉やゴボウが入った混ぜご飯を豪快に盛り付け、目を輝かせながら勢いよく食べ始めた。取材の翌日、3月7日には早くもセンバツに向けて出発。道中、練習試合を重ねながら約2週間かけて甲子園に向かうという。

始まりは監督からの要請

 同部は2001年、硬式野球部同好会として産声を上げた。翌年、硬式野球部として創部。初めて全学年の部員がそろった約20年前は、今のような寮はなくアパートの一室を寮代わりにしていたという。ふるさとを離れて高崎で生活する部員たちに栄養のある食事を提供したい、と考えたのが青柳博文監督。監督が白羽の矢を立てたのは、市内を中心に栄養バランスの取れたお弁当製造販売をしていた、はながさランチの社長夫人、佐藤幸江さんだった。長男で現在同社社長の勇太さんは、当時同部の1年生。幸江さんにとって部員は息子同然だった。「おいしいものをおなかいっぱい食べて、元気に楽しい毎日を送ってほしい」という母なる愛が、健大めしの原点だ。

「『食』のプレゼントを考えています」と話す佐藤社長

仕込みは5時から、夜は8升

 幸江さんと共に腕をふるい、今では1人で「健大めし」を担うのが小林幹夫さん。野菜、たんぱく質、ミネラルなどの栄養バランスを考えたメニューの制作、素材の仕入れ、食事作りとすべてに携わる。小林さん自身も、同校ではないが高校球児の保護者。「部員たちが少しでもホッとした気持ちになれば」という親の愛で、切り干し大根やひじきなど、家庭の味を毎食必ず1品は加えるよう心掛けているという。
 細い身体に不安そうな表情を浮かべて入寮してくる部員たちの変化を最初に感じるのが、夏を迎える前。どんぶりに盛るご飯の量が増え、身体が一回り大きくなる。夜は「健心館」だけで8升もの米を炊く小林さん。通常、仕込みは朝5時から。遠征などでお弁当が必要な日は、深夜2時から調理室に立つ。

「部員たちが喜ぶメニューを日々考えている」と語る小林さん

御礼は「勝利」で

 小林さんの楽しみは、何といっても部員たちの活躍だ。食事作りの関係で球場には行けないため、声援を送るのはもっぱらテレビの前。食堂ではご飯をほおばり、屈託のない笑顔を見せる部員たち。しかし、画面に映し出される表情はキリリと引き締まり、体つきはたくましい。「同じ子どもたちなのか、と目を疑いたくなるほど頼もしい」と目を細める。
 そんな部員たちは、小林さんが作るご飯を楽しみに寮に戻る。伝統的な「健大めし」は、鶏のから揚げだ。こぶし大ほどに大きくカットした鶏肉は「衣はカリカリ、中はジューシー。とにかく美味しくてご飯が進みます」と寮長の島田大翔さん(2年)。小林さんは甘酢をかけた南蛮風、ケチャップを絡めた酢豚風とテイストを変え、飽きない工夫で応える。
 「いつもおいしい食事を作ってくださる小林さんには感謝しかありません。お礼は、部員一丸となった勝利で必ず返します」と力強く語った。

部員たちが大好きな「唐揚げ」。栄養や味付けのバランスも考えられている

取材協力
◆高崎健康福祉大学高崎高校
 高崎市中大類町531
 ℡ 027・352・3460
◆はながさランチ
 高崎市貝沢町780の5
 ℡ 027・363・1305

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