すごいゾ!古墳 第61回 漆山古墳

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佐野古墳群の中で最大規模 上野三碑に繋がる漆山古墳

 高崎市の古墳巡りは続く。前回訪問した下佐野町の大山古墳から車で北西に2キロメートルの地点に所在する漆山古墳を紹介したい。こちらも住宅地の中の古墳だ。すぐ西側には上越・北陸新幹線が走り、高架下を交差するように通過する上信電鉄の「佐野のわたし駅」がすぐそばにある。周囲はアパートや民家に囲まれているものの、古墳の南側には駐車スペースが完備され、説明板が立っている。

 漆山古墳は、かつて80基ほど存在していた佐野古墳群の中で、最も規模の大きい前方後円墳である。アパートが間近に迫る前方部の大半はすでに削られた状態。現存する墳丘の大きさは東西約37メートル、南北約31メートルほどだが、築造時の全長は70メートル級と推定されている。埋葬施設は両袖型の横穴式石室で、後円部南側に回り込むと開口した石室が現れる。残念なことに柵で封鎖されているため内部には入れない。かろうじて柵の隙間からのぞき見することは可能だ。凝灰岩を加工して積み上げられた石室は全長約7・8メートルで保存状態も良好。内部からは刀、鉄ぞくの破片、金銅製の馬具などが出土している。

 この古墳の位置する地域には、6世紀後半ごろに大和王権の直轄地「佐野屯倉」が設置されていたと考えられ、古墳に埋葬された人物は佐野屯倉の管理者ではないかと推定されている。のちにその子孫たちが上野三碑の「山上碑」や「金井沢碑」を建てたとされ、古墳との関連の深さがうかがえる。平成29年には市の指定史跡となった漆山古墳。高崎市の文化をひもとくうえで重要な史跡といえよう。

◎所在地 高崎市下佐野町859
◎取材協力 高崎市教育委員会

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